しじみに含まれる鉄分の効果と副作用!肝臓病と鉄分との関係

しじみに含まれる栄養素の一つである鉄分は、不足すると重篤な貧血を招いてしまうことから、月経などで定期的に出血する機会のある女性にとっても大切な栄養素です。

その他にも、しじみに含まれる鉄分は、肝臓の機能を向上してくれる効果があるといわれている一方で、しじみの摂取量に気をつけないとならないケースもあります。 今回は、しじみに含まれる鉄分の効果と副作用ついてご紹介していきます。

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類がある

鉄分とは私たちの体内に2~3gほど存在するミネラルで、その7割近くが赤血球のヘモグロビンの材料となります。 赤血球は全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。

鉄分はその他にも、活性酸素の除去や、免疫機能の維持などの働きがあります。 そして鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類が存在します。

ヘム鉄とは?

ヘム鉄は「ヘムタンパク質」と呼ばれ、お肉や魚などの動物性食品に含まれています。 ヘム鉄が含まれている代表的な食品は、豚や鶏のレバー、しじみやあさりなどの貝類です。 また、非ヘム鉄に比べて吸収率が5倍と大変吸収率が良いのが特徴です。

鉄分を最も多く摂れる食品は豚や鶏のレバーですが、鉄分は摂取したとしても体内に貯めておく量に限りがあります。 そのため、毎日つづけて摂り続ける必要がありますが、豚レバーなどを毎日食べるのは中々難しいでしょう。 その点しじみの場合はしじみ汁やサプリメントとして摂り入れることもできるので、続けやすいといえます。

非ヘム鉄とは?

非ヘム鉄はヘム鉄とは対照的に、野菜や海藻などの植物性食品に含まれています。 非ヘム鉄が含まれている食品は大豆や小松菜、ほうれん草などです。 非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が低いことが特徴です。

鉄分不足による弊害とは?

鉄分不足でまず考えられる弊害といえば「貧血」ではないでしょうか?貧血を改善するために鉄分を多く含むレバーをたくさん食べるといいというのは、よく耳にすることですよね。 この時にも鉄分はヘム鉄から摂取する方が効率的に鉄分を補給できます。

鉄分が足りなくなると、赤血球の中のヘモグロビンが不足・生産されなくなり、体中に酸素が送られなくなることから、つねに酸欠状態になります。 このことから貧血を伴うめまいの他にも、脱力感や倦怠感、むくみやだるさを引き起こします。

鉄分は一度大量に摂ったからいいというものではなく、効率的に摂取できたとしても、体内に一度に蓄積できる量には限りがあります。 そのため、毎日こつこつと摂り続ける必要があるのです。

鉄分の必要摂取量と過剰摂取による副作用

鉄分は毎日取り続ける必要があることがわかりましたが、具体的にどんな食品にどのくらい鉄分が含まれているのか見ていくことにしましょう。

鉄分の必要摂取量と多く含まれている食品

私たちが十分に鉄分を摂り入れるために必要な摂取量は、成人男性で7mg/日、成人女性で6mg/日であり、月経時だとさらに多く10.5mg/日とされています。

しじみに含まれる鉄分はヘム鉄で、100g当たり5.3mgの鉄分が含まれています。 ちなみにもっとも多く鉄分を含む豚レバーは100g当たり13mg、卵黄で100g当たり6mg、小松菜で100g当たり2.1mg、ほうれん草は100g当たり0.9mgです。

豚レバーは確かに鉄分を多く含んでいますが、ビタミンAも多く含まれていて、動物性食品からのビタミンAの過剰摂取は胎児の奇形を招くといわれているため、妊娠初期の方や妊娠を望む方にはおすすめできません。

鉄分の過剰摂取による副作用

しじみに含まれる鉄分は、二日酔いの予防や解消に効果を発揮するため、肝機能の向上にも役立つといわれていますが、C型肝炎や肝臓病、脂肪肝など肝臓の疾患を抱えている場合は、鉄分の過剰摂取によって、肝機能に悪影響を及ぼす恐れがあります。

もともと肝臓には鉄を貯めておく機能がありますが、肝臓疾患のある方は、より過剰に鉄を肝臓に溜め込んでしまうのです。 過剰になった鉄分は活性酸素を発生させることから、細胞が酸化して肝機能の低下を招いてしまうのです。

鉄分の吸収を高める方法と摂り入れる上での注意点 鉄分の吸収率は動物性食品に含まれるヘム鉄の方が高いので、しじみを積極的に食べることで十分な鉄分が補給できます。 しかし、どうしても動物性食品から鉄分を摂るのが苦手な場合は、非ヘム鉄を含む植物性食品から摂る必要があります。

この場合の鉄分の吸収を高める方法として、ビタミンCと一緒に摂り入れる方法があります。 逆に、緑茶やコーヒー、赤ワインなどに含まれる、ポリフェノールの一種であるタンニンは、鉄と結びつくことで水に溶けにくい状態となり、腸からの吸収を妨げます。

鉄分を効率的に摂り入れたい場合は、タンニンを含む飲み物を食事と一緒に飲まないようにすることも大切です。

まとめ

しじみにはさまざまな栄養素が含まれていますが、そのうちミネラルの一種である鉄分は、貧血予防や免疫機能の維持、活性酸素の除去など重要な役割を担っています。

しじみに含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれる鉄分で、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」に比べて大変吸収率の良い鉄分です。 しじみは肝機能を向上させるといわれている反面、しじみに含まれる鉄分は、肝臓病の方が過剰摂取すると、かえって肝機能を低下させる恐れがあるので、特に気をつけて摂取する必要があります。

しかし、過剰摂取に気をつけるようにすれば、しじみに含まれる鉄分は私たちに有効な働きをしてくれるので、積極的に摂取していきたい食品です。