しじみの加熱調理の必要性とは?食中毒が原因?

しじみは砂抜きしたものを、しじみ汁や佃煮、炊き込みごはんなどに使うことが多いですが、この全てが加熱調理して作る料理です。

同じ二枚貝である牡蠣は、レモンやポン酢をかけて生食で食べることもありますが、しじみは生で食べることがありません。 それはなぜなのでしょうか? 今回は、同じ貝なのに生食できるものとできないものがある理由や、しじみの加熱調理の必要性をご紹介していきます。

食用の貝は2種類に分類される

しじみがなぜ生食できないのかを説明する前に、まずは貝の種類について説明します。 私たちがスーパーや魚屋さんでよく手にする貝には、あさりやしじみ、牡蠣などの二枚貝、アワビやサザエなどの巻貝の2種類があります。

二枚貝

二枚の貝殻で、柔らかな中身を包んでいる形状のもの。 あさりやしじみ、牡蠣がこれにあたります。

いずれも水中に漂っている植物プランクトンを食べて生活しています。 プランクトンを食べるときには、二枚の貝の間から水管を出して漉しとって食べています。

巻貝

名前の通り、円錐型にらせんを描いたような形状のもの。 アワビやサザエ、とこぶしなどがこれに当たります。

巻貝が食べるものは千差万別で、藻を食べるもの、肉食や雑食のものもいます。 生きた魚を丸呑みするものもありますが、アワビやサザエは藻を食べて生活しています。

しじみと違い、牡蠣には生食用がある理由は?

しじみやあさりは生食できないのに、牡蠣に限っては生食できる理由として、新鮮なものだからとか、殺菌処理してあるからなどといわれます。 しかし、実際には生食用の牡蠣の基準は決まっています。それは牡蠣の採れる生産地(海域)によるものなのです。

「生食」の牡蠣は保健所の水質チェックをクリアした海域で採れたもので、菌が基準値を超えて検出された海域で採れた牡蠣は「過熱用」とされるのです。 牡蠣を食べて食中毒を起こす理由は、ノロウィルスに感染した人が排泄したものが生活用水から海に流れてきて、汚染された海を漂っているプランクトンを牡蠣が食べることにあります。

これはしじみにもいえることで、しじみの場合も水中を漂っていたプランクトンを食べて生活しているので、牡蠣同様に、ノロウィルスのついたプランクトンを食べ続けてしまい、中腸腺(食べ物を消化する内臓部分)にウィルスが溜まってしまうことがあります。

しじみを加熱調理する必要性

牡蠣の場合は海ですが、しじみの場合は淡水と海水のぶつかり合う汽水域という場所で生息していますので、海以上に汚染されている可能性があります。 そのため、貝類についてしまうノロウィルスの数は、しじみがもっとも多いといわれているのです。

ノロウィルスは、85℃以上の熱で90秒以上加熱することで、ウィルスの活性を失わせることができます。 そのため、しじみを調理するときには必ず加熱調理をする必要があるのです。

まとめ

牡蠣を生食で食べると食中毒になりやすいといわれる一方で、生食できる牡蠣もあります。 これは牡蠣が採れる生産地によるものですが、しじみやあさりは生食できません。

しじみなどの二枚貝は、水中にいるプランクトンを食べて生活しているので、そのプランクトンがノロウィルスなどの菌に侵されてしまうと、体の中にどんどんウィルスを貯め込んでしまうことになります。

そのため、しじみの場合は必ず加熱調理する必要性があります。 しじみの栄養を安全に摂り入れ、食中毒にならないためにも、生食で食べることのないようにしてください。