しじみの3つの種類(マシジミ・ヤマトシジミ・セタシジミ)の成長過程

私たちが日常的にスーパーや魚屋さんで目にするしじみは「ヤマトシジミ」と呼ばれる種類です。 しじみにはその他にも、マシジミ、セタシジミという種類があり、それぞれに成長過程も違います。

人間や動物は卵子と精子が受精して受精卵が作られ、受精卵が徐々に大きくなることで成長します。 では、しじみはどのように生まれ大きくなっていくのでしょうか? 今回は、代表的な3つのしじみ(マシジミ・ヤマトシジミ・セタシジミ)の種類や成長過程をご紹介していきます。

しじみの種類は3種類

しじみはそのエキスを飲むことで、二日酔いの防止ができることがよく知られています。 しじみの名称の由来として、その殻が縮んでみえることから「ちぢみ」→「しじみ」になったといわれています。

しじみは国内で獲れるものの他にも輸入に頼っていることもありますが、主に、マシジミ・ヤマトシジミ・セタシジミの3種類が、私たちがよく知るしじみを指しています。

マシジミ

河川の中流から上流の淡水域に生息しており、昔は日本各地で見ることができました。 しかし、タイワンシジミが繁殖したことによりマシジミの数が減り、現在では本州以南、朝鮮半島や中国北部に生息しています。 北海道には生息していないといわれています。

殻の色は成長するにつれて、黄褐色→緑→黒と変化していき、殻の内側は光沢のある紫色です。

ヤマトシジミ

私たちが日常的に見かけるシジミはこのヤマトシジミで、淡水と海水のぶつかる汽水域に生息しています。 殻の表面は光沢を帯びた黒色で、殻の内側は淡い紫色です。

セタシジミ

マシジミやセタシジミよりは小ぶりの貝で、以前は琵琶湖にしか生息していませんでしたが、現在では諏訪湖や河口湖に移植されています。

殻の色は黒褐色で、殻の内側は紫色です。 若い貝の殻は光沢のある黄色をしています。

3種類のしじみ、それぞれの成長過程とは?

一般的にしじみの産卵時期は春から秋までの間で、精子と卵子が受精して受精卵ができます。 おなじしじみでも、生息地が違うと少しずつ成長過程も違ってくるのです。 マシジミ・ヤマトシジミ・セタシジミそれぞれの成長過程を見ていくことにしましょう。

マシジミ

マシジミは春から秋にかけて複数回にわたって何度も産卵します。 マシジミは雄と雌が同体のため精子と卵子を同時に体内に持っています。

そのため自家受精することができ、日の出後と日没前に産卵します。 受精卵は親貝の体内の中で育てられ孵化していきます。 水温24度で18~20時間かけて孵化した幼生は、水温が22度前後であれば3~5日後に体外に放出されます。

その後、幼生は水の中をぷかぷかと浮遊して育っていき、殻が成長し始めると足糸という足のようなものを出して、砂粒などに落ち着きます。 最終的には砂泥中に潜って生活をして、1年で1.6cm、2年で2.5cmまで成長します。

ヤマトシジミ

ヤマトシジミは春から夏(6月~9月)にかけて産卵します。 マシジミと違い、雄と雌が分かれていて、産卵期の雄の内臓は黄白色、雌の内臓は灰黒色になるため識別が容易です。

雄の黄白色は精巣が発達していることから、雌の灰黒色は卵子が育っていることからこのような色になります。 雄が精子を雌が卵子を同時に出水官から水中に放出し、それが受精卵となります。

卵の大きさは直径0.1mmほどで、1個の雌は一度の産卵で数十万個の卵を産みます。 そして水中を漂いながら1日かけて孵化します。 この時期をトロコファア幼生期といいます。

次にベリジャー幼生期に入ると10日ほど水中を浮遊して生活しますが、大半がこの時期に魚に食べられて死滅します。 そして殻ができる頃には砂粒ほどの大きさの稚貝となり、砂泥中に潜って生活しながら、プランクトンや有機混濁物などを食べて成長します。

ヤマトシジミの成長は緩やかで、3年で2cm、5年で2.5cmまで成長します。 そして水温が20~25度以上でよく成長しますが、水温が12.5度以下の場合は成長が遅くなります。

セタシジミ

セタシジミはヤマトシジミと同じく雄と雌に分かれています。 初夏から夏(6月~8月)にかけて産卵し、水温が20度以上であれば3~4日かけて孵化します。 貝の大きさは1年で1cm、2年で1.5~2cm、4年で2.5cmまで成長します。

まとめ

しじみには代表的な種類で、マシジミ・ヤマトシジミ・セタシジミの3種類があります。 それぞれ生息地も成長過程も違いますが、精子と卵子が受精して、受精卵ができるところ、その後は浮遊生活を行い、次第に殻ができて稚貝となっていく点はほとんど同じです。

浮遊している間に魚の餌になって数が減りますが、ヤマトシジミなどは10年ほど生きるとされています。 しじみの産卵は夏から秋にかけてですが、市場には年中出回っていて、春には特に身が肥えることからしじみの旬は春だともいわれています。